ここは体が不自由な人ばかり その１２

新しく入れ替わってとなりのベッドにきたお婆サマは、まだ70代なのにトボケていらっしゃって、ベッドに寝たと思えば起き上がり、タンスの中のものを片付け始めて帰る準備。ナース様にまだですよと言われるとハイと言うのだが、ナース様が行ってしまうとまたゴソゴソ始めてしまう。最悪はトイレに行くと言って点滴の袋をパジャマに隠して反対の方角に出て行ってしまったので、私もさすがに慌てて立ち上がってしまった。これこそ家族が付き添ってもらわんと困るわ〜と思っていたら、今日初めて小学生の子ども二人を連れた娘サマがドヤドヤと入ってきてくれた。
あぁしかし・・人生いろいろだってのを忘れてましたわ。
「ばぁ〜か！ボケ！」と娘サマが怒鳴るんですよ。最初から最後までずーっと怒りっぱなし、お婆サマが何か言うとものすごい反撃で打ちのめす。お婆サマはますます混乱してしまった。こっちもやり切れぬ思いでへこむ。
なんて言ったらいいのだろうか。ちょっと本とか読めば書いてあるに。
こういうところのお婆サマはナース様にお願いしたほうがよっぽど幸せだ。
それなのに、
バカ娘が帰ったとたんに帰る準備。迎えに来いと電話したいが、なんて言うのだ。可哀相なお婆サマだ。