ここは体が不自由な人ばかり その４

夏休みをもらって帰ってきたマリちゃんとバーちゃんのところへ行った。
バーちゃんの最近は病院にも慣れて精神面は落ち着いている。体の方は日めくりでさすが高齢だ。昨日も原因のわからない熱がでていたし、その前から下痢、薬疹、肺炎と次々危機を乗り越えてきた。
今日はまぁまぁの体調でマリちゃんをみて嬉し泣いてみせた。表情や喋り方がユニークで笑えて陰気な見舞いでないのがいつも助かる。もごもご言いながら親を大事にしろとか嫁の心得をマリちゃんに盛んに説教をしてみせた。
歩こうという執念もすごく、体調しだいでリハビリができない日が多いが、今日はついに一歩目が出て午後にはさらに歩いて感動させてもらった。

　結局、あの肺炎の時にこうなったらこのまま自然に死なせてやりたいとか、家だったら死んでいたかもしれないとへんな後悔をして担当医に迫った私だったが、こうして復活したバーちゃんと話しているとやっぱ生きていてくれてよかったとしみじみわかった。それにあの時担当医が「おばあさんは死にたいと思っていますかね？」と言ったのが強く心に残った。
むかし観た映画にどんな姿でもいいから生きていてくれと泣きすがる場面があったけれど、今はそれがほんとうによくわかる気がする私だ。
バーちゃんはまさしく私にいろいろな勉強をさせてくれている。
それはまだつづく。