Mハイツの南側風景はついに広がって、前よりひとつ高くなったようなかんじがする。
それもそのはず、ニセアカシアの木もあれよあれよという間にちょん切られ、自動車学校にせり出したような気さえするベランダになったから。
ニセアカシアは最初無けりゃいいのにと思ったこともあったが、ネコが登ったり鳥が訪れたりして四季折々の姿をいつも見ながら暮らしてきたので、さすがにちょっと残酷でさみしい気持ちがしてしまった。
いつのまにかモジャが現われて、消えてしまった宝荘の跡を歩き回っている。
モジャにとっては、生まれた実家というものだったに。
正真正銘の野良になってしまった。