それぞれの人生は尊い

　「まだまだ、５年や６年は大丈夫ですよ。元気でいてください。」
わざと言ったのでないことは私も、バーチャンもわかっていたが、思いがけずスラッと言葉に出たから・・・。
そのうちだろうと思っちゃいるが、５，６年と言われたら短くて、本人の前で何を言うのかと焦ってしまった。バーチャンはたぶん聞こえなかったようで変わったところは無かった。　時々、「わたしゃ、１００までいくかも」なんて笑わせているバーチャンだが、本当に死ぬ気はまだなさそうで言っているから、私もまだ先のことと思っていたけれど。　　でもそうなのか、そうかもしれない。　
なんかショック。
　　　
　昨日も今日も畑に行った。
相変わらず草だらけだが、カッコウが鳴き、ミントの香りあふれて、心は癒されるかんじ。
今日は、シゲジはサツマイモの苗を植え、私は草取りに専念した。
久しぶりにヤマサダ様に会った。「年々いい畑になってきたね」と言ってもらう。
最近、私は先祖代代のものだから大事にして、守りつづけて荒らしたり減らしたりはしないほうがよいと思い始めていたから、グッドタイミングだった。
　そして、ヤマクニ様の病状やヤマサダ様の体調について、お兄さんは淡々と話してくれた。
深刻すぎて私は沈んだ。
「みんなそういう年になったんですね」もっと何か言いたかったけれど、思い浮かばない。
トロンだか、なんだか、そういうものをシゲジは売っていた。薬やなのにもうちょっとズバッと効く良薬はないのかな・・。

　　　　　　　　　　　　　　　　　曖昧に　空見上げてる　花菖蒲　＜睦睦＞