たったひとつの気がかり その3
久しぶりにバーちゃんに会ったような気がした。
今日は穏やかに車イスの上で居眠りしながら、まあるく小さくなっていた。
声をかけると、おや!っと気がついて喜んでくれたから、まだ大丈夫だと私は思った。
「ばあちゃん、寝るときはしっかり寝て、ご飯もしっかり食べて、まだまだ元気でいてよ。明日からまた一緒に夕飯食べるからね」 少し休んだおかげで素直にものが言えた。
<おくりびと>を東京で観た。
生きているということは美味しいものを食べて、お風呂に入ることだといっていた。ほんとうだ。それができなくなったらお終いだと思う。
そしていつの日か敬意をもって門から送り出すつもりだ。私も。