温泉入って89年

久しぶりに酒かす顔パックのワンワさん親子とお風呂で一緒になった。
あちらのおばあ様はこちらのバーちゃんより一つ上で９０歳だ。あちらのおばあ様は耳が遠すぎてほとんど会話にはならないが、それでも年よりどうし笑顔で勝手に話している。そして必ず「ひとつしか年が違わないのになんで耳が聞こえるの？」と笑わせる。それから石鹸で体を何回も洗うのでワンワさんに怒られている。「もう3回も洗ってるよ」と。けれど上がる時はスクッと立ち上がって自分で着替えてしまうから、ワンワさんはゆっくりお湯の中にいる。
こちらのバーちゃんは会話はできるが、動作がまこと危なっかしい。もはやこの世の全てに手すりが欲しいといったところだ。それに着替えとなると断然おかしい。手を貸さなかったらチンドン屋ってものだろう。
どちらのばあ様も結局似たようなレベルで、まぁ90歳ならこんなものだろうというところだ。それも寝たきりじゃ可哀相だけど、この歳まで娘と温泉に入れる幸せな年寄りと思う。
酒かすを顔に塗ったくってワンワさんは、いつまで入れるかわからないけれど、お互いがんばろうなんて言ってくれた。