MutsuMutsu晴れ晴れ日記

晴れ晴れ人生を目指して!

老婆は一日にして成るまいに

 昨日は、久しぶりのフリマ出店。まばゆい曇り空。
音文公園のみどりは美しいが、のんびり眺めてる暇はまるでなく、どっからこんなに人がというような賑わいとなった。
なんせ公園なので、品物を並べる私達と品定めのお客さまが同時にスタートするのが恒例で、最初の一時間は汗びっしょりの慌ただしさなのだ。そしていつもなら、ちょっと落ち着く時間がくるはずなのだ。
ところが・・・
 そのとき、赤い自転車をひいて一人の老婆があらわれたのだ。いかにも貧乏そう。入れ歯の音をカクカクさせて、目は片方つぶれたような異様な醜さがあった。 ところがその老婆さま、ポンポンと何点か手にとって次々買ったあげく、黄色の財布を出してみせて、この財布は運が付いてて宝くじまで2回も当たったと言ったのだ。そして、「私は運があるで、分けてやるで、父ちゃんに分けてやりましょ」とポンと私の肩をたたいたのだ。
そうして、それからずっと最後まで荷物の間に座り込んでしまった。
そのあとも品物を手にとっては、銀行やデパートのカードが並んだ黄色い財布を出してみせた。
「みましょ、どんどん売れるに」と言う通りお客さまも途切れないのがふしぎ。
エツコさまときたら、お家まで荷物運びますなんて言い出していた。
実際、なんのおかげだったか知らないが、ありがたやオニギリ食べる暇も無く、随分売れた。
そうして、その老婆さまと自転車に乗り切らない荷物を抱えて 私が車で送ったのだった。
しかし・・まもなく 私は恐くなった。
川沿いにどこまでも進んだ道の先に どう見たって人家は無いような気がした。
「ニラがうんとあるでやるで」と言いながら降りていったところは、河原の中の畑だった。 
その時、なにげなく歳を聞いてみたらば昭和26年生まれと言ったので、吃驚仰天、腰を抜かすかと思った私だった。
いったい どこからどこまでが真実だったのか。家をよく確認しないまま逃げ帰ってしまった。

                   紫陽花や 色とりどりの 物語り  <睦睦>