寒い夜
<私も毎日忙しくしてるだよ。夜は内職さ〜。だもんで仕事から帰って、テキパキ出来ていい様なわるい様なもんさ。3年近くいると、やっぱり村の煩わしさがあるよ。松本はそれなりに良かった。まあ村の良いところもあるから楽しんで暮らすだよ。会いたいなぁ>
同じ貧乏だったので、ちょうど光る坂の上の雲をなんとなくぼんやりと一緒にながめた頃があった。将来はどんなになってんかやぁなんてぼんやり思ったものだ。底抜けに明るくだったけど。
あれからずっと道はちがったけれど、いつもどうしちょるか気にかかるのだ。
今はまた離れてしまって、それぞれの往くべき村に暮らしているのもふしぎなことだ。
あんな若い女で新聞配達や牛乳配達もチョロはやった。それで二人でヨーロッパに行ったこともあった。生まれて初めて乗ったルフトハンザの窓から最初に見たものは、香港のキラメキだったわ。 なつかしい。
ああしかし今もチョロは働いているんだ。